2017年03月

2017年3月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4514ページ
ナイス数:67ナイス

吾輩は猫である (岩波文庫)吾輩は猫である (岩波文庫)感想
解説に「少しぐずぐずといい淀んだりしているとたちまちあとがつかえてしまいそうな、溢れるように湧き出す豊かな言語と歯切れのいい文体」とあるが、まさにその通りである。しかも愉快で、友人が碁石を打った時の「迷亭先生今度はまるで関係のない方向へぴしゃりと一石を下した」(438)という一文にすら、別段面白くもない内容なのにふふっとしてしまう。口語とはいえ漱石の日本語は古さ、ひいては格調高さを感じさせるため、その文体でありがちな日常がコミカルに描かれているというギャップがたまらないのだ。恐らく現代人の特権である。
読了日:3月4日 著者:夏目漱石
最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)
読了日:3月4日 著者:二宮敦人
考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書)考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書)感想
「作る手ほどき、読む技術」。口耳に心地よい副題である。未熟のせいか、私はどうも「字余り」に過敏なようで、添削後でも収まりの悪さを感じる歌がいくつかあった。それでも殆どが俵氏のアドバイスに磨かれて輝きを増した歌ばかりである。紹介された歌の中では「体温計くわえて窓に額つけ『ゆひら』とさわぐ雪のことかよ」(穂村弘)「『雪が見たい』『なら見に来れば』簡単に行かれっこない受話器の向こう」(菜穂、俵添削)などが気に入った。今回初めて触れた現代短歌との相性は意外にいいかもしれない。(雪が好きなだけか?笑)
読了日:3月5日 著者:俵万智
日出(いず)る国の工場日出(いず)る国の工場感想
モデルの杏さんがラジオで紹介しているのを聴いて読もうと思った本。筆者はまだ30代、出版は『ノルウェイの森』より少し早く、消しゴム工場の製品が「西ドイツ」に輸出されていた頃の作である。春樹作品はなかなか難しく自分には早いと感じることが多いが、本作は軽快かつゆるっとしていて終始面白かった。「です・ます」と「だ・である」が程よくミックスされた文章も心地よい。優れた文学者はみな喩えに秀でているものだが、なるほど村上春樹は上手いと思う表現がいくつもあった。CD工場の「凄さ」が説明不可能だというくだりなど。
読了日:3月5日 著者:村上春樹
舞姫・うたかたの記―他3篇 (岩波文庫 緑 6-0)舞姫・うたかたの記―他3篇 (岩波文庫 緑 6-0)感想
慣れぬ雅文体にうんうん唸りながら読んだ挙句、内容にあまりついていけなかったので、これからは現代語訳に目を通してからにしようと反省。これまで何度も触れてきた「舞姫」と、「うたかたの記」「そめちがへ」が面白かった。本書に収録されている西欧を舞台とするエリートっぽい(理解の浅さと学の無さを露呈…恥ずかしい)作品の中で「そめちがへ」は異色の一篇だが、同作は内容のみならず文体も一味違い、永遠のような読点地獄であった。昔から古文は苦手だったが、集中力を途切らせず読めるようになりたい。
読了日:3月8日 著者:森鴎外
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)感想
具体的な投資方法を伝授する本ではない。生き方、考え方を根本からひっくり返すよう促す。金持ちになるためには「働いて稼ぐ」ものだと信じているラットレースの中の人々(著者の対極で大多数)の思考や行動が寸分違わず自分と同じだった。実学偏重は嘆かわしいことだと信じているのもあり、著者が学校教育こそ「お金のために働く」人々を生み出す元凶とするのには納得しかねたが、それでも「今すぐ、お金について学び始めろ」という強いメッセージに気圧された。「キャッシュフロー」のスマホ版を試した。シンプルな人生ゲームだがそこそこ楽しい。
読了日:3月10日 著者:ロバートキヨサキ
石川くん (集英社文庫)石川くん (集英社文庫)感想
読みながらニヤニヤが止まらない、心のこもった(!)ラブレター。横書きもフォントも文体もイラストもいい味を出していて、「言いまつがい」を生んだほぼ日での連載と知り、なんとなく納得。「真剣な顔で石川くんのことをいじめていきたいな」と綴る著者であるが、このように「石川くんいじめ」は啄木の歌を引用したり、もじったりしたものが多い。頻繁に槍玉に上げられるのは「ローマ字日記」である。歌の雰囲気とはかけ離れた啄木の実生活を知っても不思議と嫌な気持ちにならない、それどころか益々愛おしくなるのが彼の魅力かもしれない。
読了日:3月10日 著者:枡野浩一
すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)
読了日:3月11日 著者:オルダスハクスリー
紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
震災6年目に際して、あのとき確かに生きていた方々、今も様々な想いを抱きしめて生きているであろう多くの方々に思いを馳せながら文庫で再読。単行本とは紙質がまったく違うことに改めて驚く。
読了日:3月11日 著者:佐々涼子
文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書
読了日:3月11日 著者:久保憂希也
ノートル=ダム・ド・パリ(上) (岩波文庫)ノートル=ダム・ド・パリ(上) (岩波文庫)感想
ミュージカルを観たので。『レ・ミゼラブル』はいつまで経っても主人公が現れないので挫折してしまったが、本作もなるほど同じ作者によるもので、少し話が進んだと思えばすぐに建築やら街並みやらの話に戻ってしまう。しかしキリスト教建築(特にゴシック様式)が好きなので、レミのものとは異なりこちらの脇道部分(?)はとても興味深かった。 中世というと人々が信心深く、従って誰もがいつくしみと愛に満ちていた(そのために努力していた)ようなイメージを持っているが、結局いつの時代も人間は弱く、群衆は残酷なものなのだ。
読了日:3月20日 著者:ユゴー
ノートル=ダム・ド・パリ(下) (岩波文庫)ノートル=ダム・ド・パリ(下) (岩波文庫)感想
まだ断片的にしか観ていないがディズニー版とは多くの登場人物の位置付けが根本的に異なるようだ。「鐘」は、他のディズニー作品ほどではないとはいえ、やはり善人と悪人の明白な線引きを加えざるを得なかったのだろう。印象が変わるのはやや残念だが、原作の配置の方が好みだ。 母の命懸けの努力を無に帰したエスメラルダの場面だけは、どうにも感情の流れを断ち切られたような気がしてならない。母との再会と刑執行を両立させようとした結果なのか、それとも決して鎮火されぬ愛を描くために必要だったのだろうか。
読了日:3月21日 著者:ユゴー
宗教ってなんだろう? (中学生の質問箱)宗教ってなんだろう? (中学生の質問箱)
読了日:3月22日 著者:島薗進
世界音痴世界音痴感想
日経歌壇を追い始めた時期と「100分de名著」の穂村氏登場回(中原中也特集)が重なり、彼の纏っていた不思議な雰囲気に興味を持って評価の高いエッセイを読んだ。歌を読めば「この人の見ている世界は私が見ているものとはまったく違うのだろう」と感じるのだが、他方エッセイでは、まるで自分のことが書かれているかのような強い共感を抱く。特に「まだ眠ってるの?」は自分そのもので笑い転げた。
読了日:3月26日 著者:穂村弘

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