2016年

4AA03590-E62C-4C7C-A34A-59349B9D70B3-3220-0000057164E6DEA1_tmp

2016年の読書メーター
読んだ本の数:179冊
読んだページ数:45459ページ
ナイス数:507ナイス

ローマ法王―世界を駆けるヨハネ・パウロ2世 (岩波ブックレット)ローマ法王―世界を駆けるヨハネ・パウロ2世 (岩波ブックレット)感想
ヨハネパウロ二世の海外訪問の勢いが抜きん出ていたのは知っていたが、ほんの三代前(しかもその内一人は任期一ヶ月だった)の頃には、教皇が列車でローマ市外を訪れただけで大騒ぎになったというので驚いた。
読了日:1月5日 著者:宮平宏,藤谷健
[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本 (中経の文庫)[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本 (中経の文庫)感想
池上氏の著作は分かりやすいものばかりだが、本書は特にライトで読みやすかった。歴史や国際政治を扱う新書等でしばしば取り上げられるイスラームキリスト教ユダヤ教に加え、仏教ヒンドゥー教神道も説明されている。特に日本の二宗教はのちのち学びたいと思っているので、よい入門になった。
読了日:1月5日 著者:池上彰
気品ある生き方のすすめ (講談社プラスアルファ文庫)気品ある生き方のすすめ (講談社プラスアルファ文庫)感想
90年代初頭の出版だが、やや古臭さは否めない。ある女性が本書を読んで、このような理想の女性像の押し付けこそが女性を苦しめてきたのだと怒り出しかねないような記述がいくつかある。個人的にはこのようなお嬢さんの姿は魅力的であるし、こうなってみたいとも感じた。
読了日:1月5日 著者:浜尾実
池上彰が聞いてみた―「育てる人」からもらった6つのヒント池上彰が聞いてみた―「育てる人」からもらった6つのヒント感想
教育者の中でも先生(教諭)というのは、特に大変な職業である。あらゆる職が「大変」であることは確かだが、学校は幼少青年期の人々が家庭の次に長い時間を過ごす空間であり、「先生」の振る舞いは生徒の人格に直接影響すると言っても過言ではないだろう。先生というのは単に知識を与える存在ではないのだと思う。 「先生はこうあらねばならぬ」よりも「社会が先生方を支えるべき」という点に重きを置く王貞治氏の章が印象に残っている。
読了日:1月18日 著者:池上彰
笑う哲学 (ちくま文庫)笑う哲学 (ちくま文庫)感想
解説に「哲学のはじまりを、職業哲学者はかくす。そして体系をつくって、そのうしろにかくれる(211)」とあり、なるほどと思った。南氏の場合「はじまり」が明らかにされていて、しかもそれは身近な出来事なのだ。初めはこれが哲学なのか?と首を傾げたが、その時念頭にあった「哲学」は名詞であり、南氏のは動詞の「哲学する」なのだろう。カタカナを多用した独特の文体で、軽快で飽きさせない文章のパワーを感じた。
読了日:1月22日 著者:南伸坊
新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)感想
ムーミンパパの持つ、発想や価値観のぶっ飛び加減や、謎の自信に裏打ちされたある種の落ち着きのルーツを垣間見ることができるエピソード。執筆者自身、この手記にはある程度の誇張が混ぜ込んであるかもしれないという含みを持たせており、読み聞かせを聴く子供たちとともにパパの掌に載せられる体験ができる。 ここまでのシリーズを読んできて強く感じたのは、ムーミンママの桁外れな強さ、スナフキンの意外な子供らしさ、ヘムル族の疎まれ方、翻訳者が統一されていないことの弊害などである。
読了日:1月25日 著者:トーベ・ヤンソン
池上彰の「経済学」講義 歴史編  戦後70年 世界経済の歩み池上彰の「経済学」講義 歴史編 戦後70年 世界経済の歩み感想
表紙に中文字で書いてある通り、「経済学 歴史編」というよりも「経済にまつわる歴史」の本。先に読んだ『ニュース編』よりも読みやすいが学生への問いかけが少なく、折角の講義形式なのにと勿体無く感じた。 日本の経済や技術の発展はつい最近のことだというのは知っていたが、清潔さもそうであったとは驚きだ。「国民性」という言葉があるが、意外と歴史の浅い国民性は多いのかもしれない。全体的に面白く読めるが、社会主義についての後ろ2章は特に興味深い。
読了日:1月28日 著者:池上彰
悲劇と福音―原始キリスト教における悲劇的なるもの (Century Books―人と思想)悲劇と福音―原始キリスト教における悲劇的なるもの (Century Books―人と思想)感想
マルコからヨハネの順にイエスに関して強調される性質が「人性」から「神性」へ移っているように感じていた。本書を読んでそのような印象を受ける原因の一つは、本書終盤で述べられているように非悲劇化が進んでいるからなのだと感じ、腑に落ちた(佐藤氏の主張ではない)。ユダの死に関する記述の信憑性はマタイよりも使徒言行録の方にあるとする点も新鮮であった。 謝辞に「喪の作業」と福音書を絡めた優秀なレポートを書いた学生の名がある。教える立場の者を感動させるのは理想の学び手だ。憧れずにはいられない。
読了日:1月28日 著者:佐藤研
たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)感想
暴力シーンの多い映画やアニメなどを好む人を暴力と関連づけるのは、あまりにも短絡的すぎる。この考えは基本的に変わっていない。しかし本書を読んで、娯楽作品が(製作側の意図ではないかもしれないが)実際に人々の心思想の傾向を動かしていくこともあるので、そのような視点をまったく捨ててしまうことも危険なのではないかと感じた。 本書で紹介されているディズニーのプロパガンダ作品を観たが、自国が揶揄されているにも関わらず、やはり面白かった。
読了日:1月29日 著者:辻田真佐憲
新装版 ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫)新装版 ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫)感想
ムーミン谷の夏まつり』という喜劇の中で、悲劇が上演されるはずだったのだが、ムーミン谷の面々が集まった途端に劇中劇まで喜劇になってしまった。今作もすべての人の幸福のうちに物語が閉じる。「ムーミントロールは、そういってわらいました。べつに、おかしいことがあったからではありません。とてもとてもしあわせに感じたから、ただわらったのでした」(235)いつのまにか、このように素直に幸せを教えてくれる作品に触れる機会が減っていた気がする。
読了日:2月6日 著者:トーベ・ヤンソン
友情 (新潮文庫)友情 (新潮文庫)感想
再読。昔読んだ時には退屈だった記憶があるが、今回はなかなか面白く読めた。漱石の『こころ』を彷彿とさせる物語だが(或いは大正の『イニシエーション・ラブ』?)、終着点は大きく異なり、失恋した側の人間もそれによって大きく成長していく未来を予想させる。解説によると武者小路は漱石から多大な影響を受けているそうなので、この繋がりを辿って次は『それから』を読みたいと思う。それにしても、書簡の公開の場に選ばれるのが同人雑誌とは、何とおおらかな(?)時代なのだろう。
読了日:2月6日 著者:武者小路実篤
真の開発とは―人間不在の開発から人間尊重の発展へ《ペトロ文庫》 (ペトロ文庫 19)真の開発とは―人間不在の開発から人間尊重の発展へ《ペトロ文庫》 (ペトロ文庫 19)
読了日:2月8日 著者:教皇ヨハネ・パウロ二世
リアル公務員リアル公務員感想
面白かったが、本書が何を伝えたくて書かれたのか、考え込んでしまう。「知ってほしい」という気持ちと同時に、現状打破には極めて後ろ向きな姿勢も見受けられ、この読後のほのかなやるせなさは役所の新人が感じるものに似てはいないだろうかと思った。 巻末の対談で「メディアがワイドショー化している…取り上げられるのは政策ではなく政局ばかり」「今行政のことを知るためには、読みにくい役所の文章か、本質の伝わらないワイドショー的ニュースかしかないのが現状」(176)と指摘されているのが印象に残った。
読了日:2月12日 著者:町田智弥
坊っちゃん (新潮文庫)坊っちゃん (新潮文庫)感想
恥ずかしながら『こころ』以外の漱石を通読したのは初めて。同作のみで出来ていた漱石作品のイメージを大きく変える、明るく愉快な物語だった。主人公はものの善悪と向き合うとき、大局を見て(時に打算的に)行動することをせず、直感的に判断して即行動に移してしまう。解説には「勧善懲悪」とあるが、少なくとも私の個人的な道徳観によれば彼の最終的な行いは善いとは言い切れない。この点で『こころ』の作者らしさを感じた。しかし、彼自身の視点から一人称を用いて書かれることで、本作は勧善懲悪の物語となり、読者に爽快感を与えるのである。
読了日:2月12日 著者:夏目漱石
古代への情熱―シュリーマン自伝 (岩波文庫)古代への情熱―シュリーマン自伝 (岩波文庫)感想
まさに解説で指摘されている通り、シュリーマンの語学習得には目を見張った。彼は努力の天才で、その習得法は凡人には到底真似しがたいものかもしれない。しかし彼の本格的な学習が20代から始まったものであることは、「語学で最も重要なのは幼少期」という通説に納得しがちな我々にとっても、希望の光となり得ると思う。
読了日:2月12日 著者:ハインリヒシュリーマン
人は「話し方」で9割変わる (リュウ・ブックス―アステ新書)人は「話し方」で9割変わる (リュウ・ブックス―アステ新書)感想
タイトルには「話し方」とあるが、それよりも根本的で大切なのが「相手を見ること」なのだろう。相手が何を求め、何を避けたがっているのか?相手は心底自分に興味がないのか、実は機会を窺っている口下手な人なのか? 相手よりも先に自分自身を見てしまうと、相手の言葉を頭ごなしに否定したり自分ばかりが話したり、頓珍漢なリアクションをしたり、といった事態を招いてしまう。何かしてもらうのを待たず、自ら率先して相手に歩み寄るべきという点は、会話のみならず人間関係全般と共通している。会話は人間関係の入口であり縮図でもあるのだ。
読了日:2月13日 著者:福田健
14歳からの哲学 考えるための教科書14歳からの哲学 考えるための教科書
読了日:2月14日 著者:池田晶子
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
読了日:2月14日 著者:渡辺健介
レバレッジ・リーディングレバレッジ・リーディング感想
私のしている読書は本田氏のものとは目的も性格も異なるので、その点は割り切って読んだ。基本的には古典を中心にじっくりと読んでいくつもりだ。しかし、感じたことや印象に残ったことを本に書き込んでおいて後々まとめ直すという「読書後のフォロー」に関する章には、実に反省させられた。今は折るか付箋を貼るかして読了後に抜き書きをしているが、確かに読み進めているうちに次々忘れている。書きながら読むのは面倒ではあるが、その読書を実りあるものにするために必要な手間かもしれない。
読了日:2月14日 著者:本田直之
17歳からのドラッカー17歳からのドラッカー
読了日:2月15日 著者:中野明
バカの壁 (新潮新書)バカの壁 (新潮新書)感想
「最近はケシカラン」という論調はそこそこ好みなので、前半は面白かった。特に「共通了解」と「個性」を同時に要求する矛盾のくだりは読んでいて痛快だった。しかし、半ばに突然現れる無神論や終盤の一神教批判にはまったく賛同できず、それによって本書の他の記述にも嫌気がさしてきた。また途中から「バカの壁」とは何だったか忘れそうになった。
読了日:2月16日 著者:養老孟司
それから (新潮文庫)それから (新潮文庫)感想
前半は読み進めるのが苦痛気味だったが、中盤から面白くなってきた。「僕は貴方に何処までも復讐して貰いたいのです。それが本望なのです。…僕はこれで社会的に罪を犯したも同じ事です。然し僕はそう生れて来た人間なのだから、罪を犯す方が、僕には自然なのです」(283)この言葉からは『こころ』の先生の面影が感じられた。『それから』と『こころ』は点対称のような関係にあると思う。 無知ゆえに『三四郎』を飛ばして本作に手をつけるという無作法を犯したが、このまま『門』に進むつもりだ。
読了日:2月19日 著者:夏目漱石
カンガルー日和 (講談社文庫)カンガルー日和 (講談社文庫)感想
初・村上春樹。きっとこの作品には想像力の足らぬ者には計り知れない意味があるのだろう、と思いながらも、同時に本当に意味があるのかと頭を抱えたくもなった。文学作品を読むにあたって、作者から絶対唯一の「意味」が提供されるなどありえないということは百も承知だが、本書の収録作品はどれも掴むと逃げる煙のようだった。これは「難解」と形容されるものとは一線を画すると思う。分からないなりに好きな作品は『あしか祭り』『とんがり焼の盛衰』『図書館奇譚』。
読了日:2月19日 著者:村上春樹
「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)感想
タイトルはいかにも新書だが、内容は読者に安らぎを与える非常に質の良いものだと思う。第一講にある「病的な安定」「健康な不安定」を理解せず、病的に「安定」を求めることで、より精神的疲弊に追い詰められていた人も多いだろう。また、キリスト教の原罪について、個人的には神に代わって善悪を裁くという分不相応な智慧を得た(善悪の智慧の実)と考えているのだが、泉谷氏の「二元論の獲得」という説も興味深かった。 かなり気に入ったので繰り返し読むことになると思う。
読了日:2月21日 著者:泉谷閑示
メノン (岩波文庫)メノン (岩波文庫)感想
「思わく」「知識」「知」の区別がうまくつけられず混乱した。「徳は教えられるのか」という本書の主題に関しては、解説の「真の知であるような徳こそが、唯一のほんとうの徳である。そして…他に教えることのできるものである。しかし現実には、そのような真の徳=知をそなえた人は、これまで存在しなかった」(158)という解釈に同意する。二千年以上が経った今も「真の徳をそなえた人」は存在しないかもしれないが、神というのは「真の徳」をそなえ、かつ教えることのできる存在だと思う。
読了日:2月21日 著者:プラトン
イギリス人のユーモア―日本人には思いつかないイギリス人のユーモア―日本人には思いつかない感想
イギリス人のシニカルな言葉は、外から眺めている分にはとても魅力的だ。あまりきつい冗談は言わない日本人の国民性が好きだが、口汚く罵るよりは批判をもジョークに昇華させるイギリス人のスタイルもよいかもしれない。 森首相のWho are you?がさも事実のように掲載されていたり、「第一七章マーク(マルコ福音書のこと)」という謎の訳語が使われていたりと、首を傾げたくなるところもあった。
読了日:2月22日 著者:北村元
そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)感想
数ある池上氏の著作にいわゆる「ハズレ」を感じたことはないが、中でも『そうだったのか!』シリーズは濃密な内容が丁寧に纏められていて特に優れていると思う。 テーマ毎に章立てされているため時間は行ったり来たりするが、そこは池上氏の流石の力量で読みやすい。また、各章扉のイラストがチクリと風刺的かつ可愛らしい。最終章まで読んだら、本を閉じる前に第一章を読み返すのが望ましいと感じた。
読了日:2月26日 著者:池上彰
パンセ (中公文庫)パンセ (中公文庫)感想
ひと月以上かけて全断章に目を通したので読了登録。本書ほど拾い読みに適した書物もそうそうないだろう。これからも時折手に取るつもりだ。
読了日:2月26日 著者:パスカル
余計な一言 (新潮新書)余計な一言 (新潮新書)感想
耳が痛い話ばかりだが、特に「いつも出てくる『私』」の改善は急務だ。ところで齋藤氏は「ちょっとした一言が許せないという風潮が行き過ぎることは問題だ…とことん責め立てるという過剰な攻撃衝動が募り、不寛容な態度が蔓延して、世の中が窮屈になっている」(65)「誰かが最初に『悪い』と決めつければ、何万人もの人がすぐにそれに同調する。…『悪くなかった』ことが報道でわかると、今度は掌を返したように、同情したり褒め称えたり」する(199)、と指摘する。この指摘に同調する私自身も、その風潮の一部に違いないのが恐ろしい。
読了日:2月26日 著者:齋藤孝
一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法感想
最近よく「目標をハッキリさせる」という言葉を見かける。まさに「夢がなければ夢をかなえることはできない」と書かれている通りで、至極当然のことなのに忘れがちだった。これも何かの縁と、とりあえず手帳に書き込んだ。熊谷氏の体系的な手帳術はなかなか真似できないが、この「とりあえず書く」習慣はすぐに取り入れようと思う。
読了日:2月26日 著者:熊谷正寿
お目出たき人 (新潮文庫)お目出たき人 (新潮文庫)感想
表題作に加え、主人公「自分」が書いたとされる文章も幾つか収録されている。中でも最後のものは傑作で、タイトルを見落としていたために椅子からずり落ちるところだった。 本作に興味を持ったのは、先日読んだ夏目漱石『それから』と本作の繋がりを指摘する解説を目にしたからなのだが、実際に読み始めて驚いた。「自分」は面倒臭く鬱陶しいストーカー気質で、そこが読者を感動させ、かつ滑稽さで笑わせるところでもあるのだが、残念なことに、私は間違いなく「自分」と同じタイプだ!
読了日:2月27日 著者:武者小路実篤
読書について 他二篇 (岩波文庫)読書について 他二篇 (岩波文庫)
読了日:2月28日 著者:ショウペンハウエル
池上彰の新聞勉強術池上彰の新聞勉強術感想
池上氏の著作の中で、知識を分け与えてくれるものはいくつか読んできたが、その知識を得た方法について書かれた本を読むのは初めてだと思う。終始「勉強になるからこうするべきだ」ではなく「こんなにも面白いんですよ」というトーンなので、興味を引き立てられた。池上氏には本当に憧れる。
読了日:2月29日 著者:池上彰
社会学入門 (放送大学教材)社会学入門 (放送大学教材)感想
テンポが良く退屈を感じさせない社会学概説。第1部と第2部が特に面白く、全体を通して井上氏と大村氏によって書かれた章はどれも極めて良かった。
読了日:3月1日 著者:
おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)感想
再読。やはり人と本とには出逢うべき時というものがあり、それを無視して読んでも感動は得られないのだと思う。本書を古文の授業で読まされた時にはまったく興味が持てなかったのが、今回は驚くほど面白かった。無学なりにもそれを感じ取れるほど、芭蕉の文章には美しさがある。また、俳句の良し悪しを語れる身分でもないが、芭蕉の句と曾良の句を比べると、何かが明らかに違っているのだ。 本書の現代語訳→古文→解説、という本書の形式が初学者にとても合ったので、「ビギナーズ・クラシックス」シリーズは集めていきたい。
読了日:3月4日 著者:
教師の心が折れるとき: 教員のメンタルヘルス 実態と予防・対処法教師の心が折れるとき: 教員のメンタルヘルス 実態と予防・対処法
読了日:3月8日 著者:井上麻紀
まっすぐな線が引ければ字はうまくなるまっすぐな線が引ければ字はうまくなる感想
練習ノートではなく、文字を書くときの心得集。小指に力を入れるというのはまったく盲点だった。思えば、手がやたらと疲れる時には、なぜか小指の第一関節のみが曲がっている……。また一画ごとに「とん・すー・とん」のリズムを意識するということも書いてある。急いでいない時には必ず実践しよう。
読了日:3月8日 著者:高宮暉峰
なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)なぜ、それを好きになるのか?脳をその気にさせる錯覚の心理学 (角川SSC新書)
読了日:3月8日 著者:竹内龍人
銀の言いまつがい (新潮文庫)銀の言いまつがい (新潮文庫)感想
言いまつがいの面白さの根本には、共感があるのだと思う。個別の出来事としては突拍子もないと感じるまつがいでも、同じ言語を使って長いこと生きているから、そのようなまつがいが起こるのがなんとなく分かる。 家族や友人に怪しまれながらも楽しんで読んだ。何も考えず声をあげて笑いたい気分の人には、テレビを点けるのもいいが、この本をお勧めしたい。
読了日:3月9日 著者:
ニセドイツ〈2〉≒東ドイツ製生活用品 (共産趣味インターナショナル VOL 3)ニセドイツ〈2〉≒東ドイツ製生活用品 (共産趣味インターナショナル VOL 3)感想
洗濯女ヨハンナとザンドマン、ハリネズミのキャラクターが非常に愛らしく印象に残る。思えば第1巻ではトラバントの可愛らしさに心を奪われた。「共産趣味」なるものが存在する理由が、なんとなく分かるような気がする。
読了日:3月13日 著者:伸井太一
哲学の饗宴―ソクラテス・プラトン・アリストテレス (NHKライブラリー)哲学の饗宴―ソクラテス・プラトン・アリストテレス (NHKライブラリー)感想
ソクラテスプラトンアリストテレスの三名のみを扱う本書は、古代哲学者を多岐にわたって列挙する姉妹書『哲学の原風景』よりも更に読みやすく、一人ひとり掘り下げるので面白かった。この種の概説書は、扱われている思想家本人の著作(古典)を読むのは面倒だがある程度知っておきたいという理由で読まれることも多いが、本書の要約・解説は古典への興味へと読者を誘ってくれる。ところどころに現代社会への皮肉がチクリと顔を覗かせているのも楽しい。
読了日:3月15日 著者:荻野弘之
光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 (新潮文庫)光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 (新潮文庫)感想
再読。
読了日:3月17日 著者:三浦綾子
ソクラテスの弁明・クリトン (講談社学術文庫)ソクラテスの弁明・クリトン (講談社学術文庫)感想
《新訳》の「弁明」はぱっと見読みやすそうなのだが、実際に読者の思考がソクラテスの発言に寄り添っていけるかという点では、田中美知太郎訳に軍配があがる。対話篇である「クリトン」については本書に収録されている訳もよかった。プラトンとは異なる視点から弁明を書いたクセノポンの資料が読めるのも嬉しい。
読了日:3月17日 著者:プラトン
山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7)山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7)感想
表題作である『山椒大夫』『高瀬舟』及び『最後の一句』が非常に気に入った。これらの作品の登場人物には不思議なまでの平静さ、芯の強さがあり、それに励まされて読者の方もハラハラするよりも落ち着きを得るような気がする。
読了日:3月18日 著者:森鴎外
銀の匙 (岩波文庫)銀の匙 (岩波文庫)
読了日:3月19日 著者:中勘助
翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり
読了日:3月21日 著者:片岡義男,鴻巣友季子
バイエルの謎: 日本文化になったピアノ教則本バイエルの謎: 日本文化になったピアノ教則本感想
著者がバイエルの情報を得ようと奔走する様子を描いた手記のような本。単にバイエル自身について少し知ることができるだけでなく、自ら調べて回る研究の面白さを感じることができた。終盤12、13章は特にワクワクする。その点では『イヴの七人の娘たち』に似ている。ただ、エピローグには少し盛り下がった。
読了日:3月22日 著者:安田寛
大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)感想
『新・戦争論』『希望の資本論』でも感じたのだが、この二名の対談は佐藤氏が多くを語り、池上氏がそれに同意やさらなる根拠づけ、補足等をしている印象が強い。 『新・戦争論』には本書よりも苦戦した記憶があるが、ひょっとすると本書が易しくなったのではなく、私の方が読書に慣れてきたのだろうか。
読了日:3月22日 著者:池上彰,佐藤優
古都 (新潮文庫)古都 (新潮文庫)
読了日:3月23日 著者:川端康成
決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)感想
個人の体験記のようなものでない、政治や歴史に絡む大規模なノンフィクションを読むのは初めてだ。そのためか、冷静に読む目が養われていないと感じた。「陸相の死に様に感動した」というような感想ばかりを抱くのでは、この種のノンフィクション小説が読者に求める読み方のうち半面でしか読めていないということだ。これから鍛えていきたい。 次は二・二六事件に関する書籍を読むつもりだ。
読了日:3月27日 著者:半藤一利
はじめてのカルヴァンはじめてのカルヴァン
読了日:3月30日 著者:C.エルウッド
ヨハネ・パウロ二世 日本の四日間ヨハネ・パウロ二世 日本の四日間感想
写真をいくつか含んだ教皇訪日の記録。スケジュールが過密だったとはよく聞くが、実際に追ってみると確かに忙しい。教皇自身が原因で移動時間が伸びたり時間が押したりすることもあり、企画側が悲鳴をあげても人々との触れ合いの方を重んじる教皇の姿は、感動を呼ぶと同時にユーモラスでもあった。教皇の希望と警備の安全性との兼ね合いも、常に難しいものなのだと感じた。
読了日:3月31日 著者:山内継祐
われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)感想
前書きからしてあまりにも面白すぎたので、電車内で読むことを断念した。著者の綴る文章はどこまでも捻くれた屁理屈のようでもあるが、現実の事物を見てここまで詳細に言語化することを、我々は日常的に行ってはいない。あるものをしつこくこねくり回せる捻くれ者であることも、アリストテレスの言うように現実に「驚く」ことのできる素直な者であることも、いずれも哲学する者に不可欠な素質であるのではないだろうか。
読了日:4月3日 著者:土屋賢二
お目出たき人 (新潮文庫)お目出たき人 (新潮文庫)感想
初読のとき脳裏をよぎったのは、世界史でお馴染みの「偶像崇拝」という言葉だった。個人的に「偶像」とは、単なる木や金属で造られた像のみを指すのではないと思っている。本物の代わりに、人間が自ら作り出したものを信じ愛することが偶像崇拝だ。他人を勝手に自分の「理想像」に当てはめてそれを愛することは、本当にその人を愛することなのだろうか?……などと思いつつ再読すると、冒頭に「誠に女は男にとって『永遠の偶像(アイドル)』である」(19)とあった。
読了日:4月3日 著者:武者小路実篤
目で見る坐禅入門目で見る坐禅入門
読了日:4月3日 著者:宝積玄承
職業としての学問 (岩波文庫)職業としての学問 (岩波文庫)
読了日:4月4日 著者:マックスウェーバー
サロメ (岩波文庫)サロメ (岩波文庫)
読了日:4月5日 著者:ワイルド
ヘミングウェイ短篇集〈上〉 (岩波文庫)ヘミングウェイ短篇集〈上〉 (岩波文庫)
読了日:4月6日 著者:ヘミングウェイ
ジュネーヴ教会信仰問答 (新教新書)ジュネーヴ教会信仰問答 (新教新書)
読了日:4月8日 著者:ジャンカルヴァン
トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)
読了日:4月9日 著者:トルストイ
日本は本当に戦争する国になるのか? (SB新書)日本は本当に戦争する国になるのか? (SB新書)感想
池上氏の著書の中では、これまで感じたことのない力強い主張を感じた。というのも、これまで読んだことのある池上本は勉強法の紹介か、時事に多少絡めた歴史教科書ばかりだったのだ。そのような本ではカモフラージュされていた池上氏自身の思想が、本書からは感じられる。 表紙にある通り、最終的には「自分で判断する」ことが必要だ。私も池上氏の同意や否定を受けて一喜一憂する他人任せな姿勢を改めねばならない。
読了日:4月17日 著者:池上彰
ナビゲーター世界史B (1)ナビゲーター世界史B (1)
読了日:4月20日 著者:
現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))
読了日:4月26日 著者:玄侑宗久
立ちなさいさあ行こう―教皇ヨハネ・パウロ二世の自伝的回想立ちなさいさあ行こう―教皇ヨハネ・パウロ二世の自伝的回想
読了日:4月27日 著者:ヨハネ・パウロ2世
本を読む人だけが手にするもの本を読む人だけが手にするもの
読了日:4月29日 著者:藤原和博
光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 (新潮文庫)光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 (新潮文庫)
読了日:4月29日 著者:三浦綾子
家族――教皇講話集 (ペトロ文庫)家族――教皇講話集 (ペトロ文庫)
読了日:5月22日 著者:教皇フランシスコ
生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)
読了日:5月24日 著者:セネカ
ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)
読了日:5月24日 著者:R.L.スティーヴンスン,R.L.Stevenson,RobertLouisStevenson
マホメット (講談社学術文庫)マホメット (講談社学術文庫)感想
イスラームはつくづく勘違いの多い宗教であると思う。本書は薄いが、意外な情報に満ちていた。例えば、「アッラー」はもともとカーバで崇められていた神々のうち、特に至高とされる神を呼ぶ名であったという。人々が下位の神々(偶像)ばかり拝むので、本来の神に立ち返れというのがムハンマドの活動だったらしい。また当初は「啓典の民」の改宗に期待して、彼らへのリスペクトを示すため、礼拝時にメッカではなくエルサレムの方角を伏し拝んでいたというのも面白い。コーランはいつか触れたい書物の一つだ。
読了日:5月24日 著者:井筒俊彦
光あるうちに光の中を歩め (岩波文庫 赤 619-4)光あるうちに光の中を歩め (岩波文庫 赤 619-4)感想
『イワンのばか』はとても好きだが、本書はあまり面白いと感じなかった。主人公のユリウスは、信仰深いキリスト教徒の旧友パンフィリウスとキリスト教の欺瞞を説く医師の間で揺れ動くのだが、本書の趣旨に反して医師の主張の方に強い説得力があり、パンフィリウスの言葉は漠然としているように感じた。最後にキリスト教共同体の老人が、ぶどう園の労働者の譬えに重ねて「神のみもとでは、小さいものも大きいものもない。また人生にも…まっすぐなものと曲がったものとがあるばかりだ。人生のまっすぐな道へ入りなさい」と語る場面はよかった。
読了日:5月25日 著者:トルストイ
アウグスティヌス講話 (講談社学術文庫)アウグスティヌス講話 (講談社学術文庫)
読了日:5月28日 著者:山田晶
老年について (岩波文庫)老年について (岩波文庫)感想
「わしは、わが家からではなく旅の宿から立ち去るようにこの世を去る」(77)という言葉が印象的だった。肉体の死は終わりではないし当然忌むべきものでもなく、待望されるものだ。しかしそれを早く早くと切望すべきものでもなく、老年期は生の一部としても、死の前段階としても、大切なものであると思う。のちにカエサル暗殺に呆れ返って激しく憤ったキケロは、老年が怒りっぽさに拍車をかけるので「『大カトー』(本書)を私はもっと頻繁に読まなければならない」とアッティクスに書き送ったという。(119)
読了日:5月31日 著者:キケロー
深い河 (講談社文庫)深い河 (講談社文庫)
読了日:6月1日 著者:遠藤周作
小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける―これだけは知っておきたい70のポイント小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける―これだけは知っておきたい70のポイント
読了日:6月3日 著者:佐藤優,井戸まさえ
友情について (岩波文庫)友情について (岩波文庫)感想
『老年について』と同時に借りて先に読み始めたが、冒頭の献辞にて両作品の関係を知り、後回しにしていた本。どちらも読みやすいが、『老年』の方がより順序立って理路整然としていたように感じる。本書で語られる真の「友情」は非常に美しく理想的なものだが、それゆえ、お前の友情は偽物だと言われているようで寂しくもあった。
読了日:6月3日 著者:キケロー
ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)感想
小学校の頃に夢中になった「ハリポタ」。当時集めたグッズなどは殆ど処分してしまったが、友人たちと熱く語ったり、映画撮影地を巡ったりした思い出はまだ色褪せていない。数年のブランクはあったもののやはり読書が好きな自分の原点はここにあると思う。 ページの余白に、幼い自分がスネイプの論理パズルを解こうとした形跡があるのが微笑ましい。
読了日:6月4日 著者:J・K・ローリング
自殺について 他四篇 (岩波文庫)自殺について 他四篇 (岩波文庫)感想
『自殺について』とあるが自殺論はごく一部に留まり、より広くショーペンハウアーの死生観が綴られた本。『読書について』から入ったので彼の哲学らしい哲学に触れたのは初めてで、かなり厭世(生)的なのに驚かされた。「我々は我々の誕生の償いを、第一には生きることによって、第二には死ぬことによって、なしているのである」(70)……「誕生の償い」は衝撃的な言葉だった。彼はキリスト教について散々言っておきながら、原罪思想はこの考えに沿っているとする。自分とショーペンハウアーが見ている「キリスト教」は違うものらしい。
読了日:6月6日 著者:ショウペンハウエル
図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける感想
活用術としては特に目新しい内容はなかったが、レファレンスサービスや有料データベースの無償提供などは実際に利用したことがないので、機会があれば躊躇わずに使ってみたいと思った。 また、図書館の数がここ10年で約15%も増加したというのは驚きだ。活字離れや予算不足が叫ばれ始めて久しいので、てっきり書店同様に減少傾向にあるものだと思っていた。
読了日:6月7日 著者:奥野宣之
やんごとなき読者やんごとなき読者
読了日:6月8日 著者:アランベネット
声に出して読みたい 小中学生にもわかる日本国憲法声に出して読みたい 小中学生にもわかる日本国憲法感想
挿絵のヨシタケ氏のファンなので。「小中学生にもわかる」とあるが、小学生による実際の条文の音読とは、素読のようなものが想定されているのだろうか……。解説はあるものの「基本的人権」や「安保条約」などといった用語の明確な説明はなく、復習にはなれど、小中学生が実際に本書で憲法を学ぶのは難しいのではないかと思う。イラストはたまらなくかわいい。
読了日:6月8日 著者:齋藤孝
子どもの読書いまこれから (新日本新書 (456))子どもの読書いまこれから (新日本新書 (456))感想
『兎の眼』という本に対する子どもの感想は、「うさぎのような優しいきれいな眼」「無言の抵抗の眼」「差別のカーテンで覆われた眼」とばらばらであった。それが本来の読書であるはずだ。しかし我々はどうしても、あるものを見ると唯一の意味づけをしたくなってしまう。ある文学作品の解説書で研究者の解釈を読み、「本当はそういう意味だったのか!さすが専門の先生は違うなあ」と感銘を受け、まるで最初に持った自分の感想を上書きされてしまったかのように、以後その説にとらわれてしまうことは決して珍しくない。読書まで権威主義になりがちだ。
読了日:6月10日 著者:広瀬恒子
わが死生観―人間、どう生きるかわが死生観―人間、どう生きるか感想
セネカの文章そのものに加え、この翻訳は特に章題や小見出しのつけ方も相まって、自己啓発の新刊棚に並んでいてもさほどの違和感を覚えないほど、現代日本を生きる我々の現実に即している。歴史を勉強している時には、人間のあり方や思考方法は時代とところ、それに付随するその人の立場によって随分違うものだなあと思わされるが、一方で本書を読んだ時などには、人間は2千年も前から変わらないのだなあと正反対の驚きに出会うのだ。
読了日:6月13日 著者:セネカ
なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫)なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫)感想
一月かけて通読。無論、教派も人間が集まって成る共同体であり、同一の教派、地域、教会の中でも多様な信仰と気質を持つ人々が混在しているのだろう。そのことは念頭に置かねばならないが、各教派の教義の特色と信徒の全体的な傾向が適度な詳しさで概説されている本書は非常に面白かった。その教派ゆかりの文学や映画も紹介されているので、単なる解説に留まらず、少し興味を持った読者への道案内としての役割も果たしていてとてもよい。
読了日:6月13日 著者:八木谷涼子
帰ってきたヒトラー 上帰ってきたヒトラー 上感想
映画化するらしいという話とともに知人に紹介されて出会った。実際に原作を読み始めたのと、映画の公開とがちょうど重なったこともあってか、久々に小さなマイブームの波を感じている。これまでアウシュビッツを始めとする20世紀の悲劇について学ぶことはあれど、ヒトラー自身について調べてみようと思ったことはなかった。ナチスに関しても恐ろしいイメージはあれど、実際には殆ど何も知らないに等しい。本作のお陰で積極的に勉強できそうな予感がする。
読了日:6月13日 著者:ティムールヴェルメシュ
トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)感想
表題作『人はなんで生きるか』と『愛のあるところに神あり』が特に好きだ。これまで読んできた本の中でも一際「説教くさい」のがトルストイの民話集だが、それにも関わらずなのか、むしろそうであるがゆえなのか、一際美しく、一際心を打ち、心を温めてくれるように感じる。多くの人に愛読され続けている理由がとてもよくわかる。 しかし、この種の本が現代日本で書かれたとして、果たしてどれほどの消費者の興味を引くだろうか。これほどストレートに「説教くさい本」が書店のランキングに載る様は想像し難く、それを残念に思う。
読了日:6月14日 著者:トルストイ
お目出たき人 (新潮文庫)お目出たき人 (新潮文庫)感想
再々読。前向きな思案と後ろ向きな思案との間を行ったり来たりする主人公は、外から眺めていると焦ったく滑稽に写るが、そう感じる我々も常に同じように振る舞っているのだろう。解説で阿川佐和子氏が痛烈に絶賛(?)しているこのグダグダ精神・ウジウジ描写の縮図が、繰り返し現れる道の選択に迷う描写なのかもしれない。
読了日:6月14日 著者:武者小路実篤
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
読了日:6月14日 著者:パウロコエーリョ
読書案内―世界文学 (岩波文庫)読書案内―世界文学 (岩波文庫)
読了日:6月17日 著者:サマセット・モーム
新宿で85年、本を売るということ (メディアファクトリー新書)新宿で85年、本を売るということ (メディアファクトリー新書)感想
多くの客がなんとなく抱いている「紀伊國屋本店ならどんな本でも手に入る」という気持ち、私も身に覚えがある。確かに「どんな本でも」は必ずしも事実ではないかもしれない。しかし、その共通認識の存在によってこそ、多くの本が本店に惹きつけられ、本店はますます「どんな本でも手に入る」書店に近づいてきた。その基盤には客、書店、取次、出版社に属する人と人の関わり合いが必ず存在する。リアル書店の良さは本や棚を見て本を選べるという「人と本」の関係に留まらない。「人と人」の関係は、文字列のみ介するネットでは味わえないものだろう。
読了日:6月17日 著者:永江朗
西の魔女が死んだ (新潮文庫)西の魔女が死んだ (新潮文庫)
読了日:6月19日 著者:梨木香歩
共産主婦―東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日 (共産趣味インターナショナル)共産主婦―東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日 (共産趣味インターナショナル)
読了日:6月20日 著者:イスクラ
ヒトラーという男―史上最大のデマゴーグ (講談社選書メチエ)ヒトラーという男―史上最大のデマゴーグ (講談社選書メチエ)
読了日:6月20日 著者:ハラルトシュテファン
帰ってきたヒトラー 下帰ってきたヒトラー 下感想
先日映画を観たが、原作からの変更点も含めて非常に良くできていた。特に、作品を楽しんでいた自分自身の姿にゾッとするあの後味の悪さは、映画版でより強調されたもののように思う。つまりこの作品は、現代の政治家や世界情勢をヒトラーを介して風刺するだけでなく、それを面白がって読み、気づけば「帰ってきた」ヒトラーに魅力を感じている我々にも、鋭い眼差しを向けるのである。 「あれは風刺なんかじゃない。ヒトラーが昔に言ったことを、そのまま繰り返しているだけだ。人々がそれを聞いて笑っているのも、昔と同じだって」(144)
読了日:6月21日 著者:ティムールヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)感想
文庫で再読中。単行本にはなかった脚注がついていて驚いた。ヒトラー周辺人物の解説などは非常にありがたい。時折、ジョークを言った本人がその面白さを説明するようなばつの悪さを感じないこともないが。 ヒトラーの最初の演説の意味を理解するにはまだまだかかりそうだ。
読了日:6月24日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)感想
岩波訳は初読。本書で『動物農場』を知った人は、以降この作品とソ連を直結させて考えてしまうだろう。付録も解説も、ソビエトスターリンの話題ばかりだからだ。しかしながら、それはあくまで執筆背景であって、作品の目指すところではなかったのではないだろうか。左派も右派もなく、人間が社会を形成する限り、このようなことはいつどこでも起こり得、実際に起きている。この作品は人間への普遍的な警告であると思う。
読了日:6月25日 著者:ジョージオーウェル
トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)感想
再読。前回はあまり気に入らなかった『火を粗末にするとー消せなくなる』が今回初めて響いた。『ろうそく』は難しい。
読了日:6月26日 著者:トルストイ
怒りについて 他二篇 (岩波文庫)怒りについて 他二篇 (岩波文庫)感想
怒りの発生には必ず理性の同意が伴う、というくだりが興味深かった。萌芽の段階では理性のゴーサインを受けて出発したものが、その理性を遥かに凌ぐ大きさに膨れ上がって自らの操縦権を奪い取ってしまう。それが「怒り」だという。つまり、想像を絶するほどの激しい怒りに突き動かされたのだとしても、人は決してその責任から逃れることはできないということだろう。 セネカに魅力を感じるのは、ひょっとするとまだ形而上学をやるほどは鍛えの足りない私にとって、人間の一般的な態度に視点を置いた彼の著作が親しみやすいからかもしれない。
読了日:6月28日 著者:セネカ
告白 上 (岩波文庫 青 805-1)告白 上 (岩波文庫 青 805-1)感想
冒頭では罪意識の強さに気を取られ、太宰に対するのと似た姿勢で読んでいたのだが、アウグスティヌスの場合は告白される罪が重ければ重いほど、それをゆるす神への賛美も大きなものとなるということが徐々にわかってきた。 直訳らしいフレーズが散見されるので、文体はさておいても読みやすい翻訳であるとは言い難い。世界の名著の山田晶訳が文庫化されていることを先に知っていたら……。しかしながら、読み易い文体にはつい読み流してしまうという落とし穴がある。本書には鉛筆片手にじっくりと取り組んだので、濃い読書ができたと思う。
読了日:7月17日 著者:アウグスティヌス
カエルの楽園カエルの楽園感想
これは寓話と呼ぶには、あまりにもあからさますぎるような気がする。著者の観点から見た「事実」を用語を置き換えて再現しただけでは「大衆社会の本質を衝いた」とはとても言い難いし、少なくともオーウェルと並べて欲しくはない。「ナパージュ」には笑った。しかし確かに、盲目的で愚かな平和主義に陥らないための警告の書としては私に有用だと思う。
読了日:7月21日 著者:百田尚樹
アウグスティヌス講話 (講談社学術文庫)アウグスティヌス講話 (講談社学術文庫)
読了日:7月31日 著者:山田晶
自省録 (岩波文庫)自省録 (岩波文庫)
読了日:8月9日 著者:マルクスアウレーリウス
新宿で85年、本を売るということ (メディアファクトリー新書)新宿で85年、本を売るということ (メディアファクトリー新書)
読了日:8月14日 著者:永江朗
トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)
読了日:8月19日 著者:トルストイ
職業としての学問 (岩波文庫)職業としての学問 (岩波文庫)
読了日:8月21日 著者:マックスウェーバー
銀河鉄道の夜 (角川文庫)銀河鉄道の夜 (角川文庫)感想
小学生以来の賢治。彼の文体は非常に読みやすく、幻想的で美しい描写は想像を豊かに掻き立てる。これが子供たちに愛読される主たる理由だろう。しかし賢治の作品は、読者がある程度年齢を重ねると、逆に難解になるような気がする。物語に慣れている者は別だが、大人は子供たちに比べて、暗喩や因果の解明に気を取られてしまう傾向が強いからだ。その解明には私では教養不足だった。解説がやや物足りないと感じたのはそのためだろう。
読了日:8月24日 著者:宮沢賢治
お片づけセラピー  (宝島社文庫)お片づけセラピー (宝島社文庫)
読了日:8月24日 著者:桜井公子+袋居司著,開口逸巳画
ビジネスにも役立つ!イギリスへのパスポート―「紳士の国」の慣習やスタイルが90分でわかる (新潮OH!文庫)ビジネスにも役立つ!イギリスへのパスポート―「紳士の国」の慣習やスタイルが90分でわかる (新潮OH!文庫)
読了日:8月24日 著者:ティモシーハーパー
精霊の守り人 (新潮文庫)精霊の守り人 (新潮文庫)
読了日:8月24日 著者:上橋菜穂子
闇の守り人 (新潮文庫)闇の守り人 (新潮文庫)
読了日:8月25日 著者:上橋菜穂子
夢の守り人 (新潮文庫)夢の守り人 (新潮文庫)
読了日:8月25日 著者:上橋菜穂子
虚空の旅人 (新潮文庫)虚空の旅人 (新潮文庫)
読了日:8月26日 著者:上橋菜穂子
神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)
読了日:8月26日 著者:上橋菜穂子
狐笛のかなた (新潮文庫)狐笛のかなた (新潮文庫)
読了日:8月27日 著者:上橋菜穂子
神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)
読了日:8月28日 著者:上橋菜穂子
天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫)天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫)
読了日:8月29日 著者:上橋菜穂子
蒼路の旅人 (新潮文庫)蒼路の旅人 (新潮文庫)
読了日:8月29日 著者:上橋菜穂子
新・片づけ術「断捨離」新・片づけ術「断捨離」
読了日:8月29日 著者:やましたひでこ
天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)
読了日:8月30日 著者:上橋菜穂子
天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)
読了日:8月31日 著者:上橋菜穂子
獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
読了日:8月31日 著者:上橋菜穂子
流れ行く者: 守り人短編集 (新潮文庫)流れ行く者: 守り人短編集 (新潮文庫)
読了日:9月1日 著者:上橋菜穂子
獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
読了日:9月3日 著者:上橋菜穂子
獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)
読了日:9月4日 著者:上橋菜穂子
獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)
読了日:9月6日 著者:上橋菜穂子
本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)
読了日:9月9日 著者:内沼晋太郎
本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)感想
本屋好きにはたまらない一冊だった。分厚いが数日かけて隅まで読破。私が好きな書店は大手チェーン店の、それも大型店舗に偏っていた。膨大な本に囲まれ途方にくれながら本棚の間を彷徨い歩き、目に付いた本を片っ端から引っ張り出しては戻したり、カゴに入れたりするのが好きだからだ。しかし本書を読んで、独特の品揃えを誇る書店や、所謂「町の本屋さん」にまで興味が広がった。悲しいのは、本書で「行ってみたい!」と思った書店の中には、既に閉店してしまったところも多くあることである。
読了日:9月11日 著者:
星の王子さま (新潮文庫)星の王子さま (新潮文庫)
読了日:9月12日 著者:サン=テグジュペリ
本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本
読了日:9月12日 著者:内沼晋太郎
カルト村で生まれました。カルト村で生まれました。
読了日:9月19日 著者:高田かや
怒り(上) (中公文庫)怒り(上) (中公文庫)
読了日:9月20日 著者:吉田修一
怒り(下) (中公文庫)怒り(下) (中公文庫)
読了日:9月21日 著者:吉田修一
歎異抄 (ちくま学芸文庫)歎異抄 (ちくま学芸文庫)
読了日:9月22日 著者:
永遠平和のために (岩波文庫)永遠平和のために (岩波文庫)感想
薄いがまだ身の丈に合わぬ難解な本だった。まず「100分de名著」を観て、本書を読み、再び番組を観て「そんなことを言っていたのか」と(二回目の視聴にも関わらず)新鮮に感じるほど、内容が入ってこなかった。名著であることには違いないので読みやすさが売りらしい光文社版での読み直しも検討中。
読了日:9月26日 著者:カント
謎解きはディナーのあとで謎解きはディナーのあとで感想
五年ぶりに再読。軽い文体と洒落たデフォルメの効いた人物設定によって、実はしっかりと書かれているミステリを包み、いわゆる本格推理には決して興味を持たないような人々をも招き入れる作品である。それがヒットの一因だと思う。前半部分で全ての情報が読者(と影山)に開示されるので、影山が聞いた話だけで謎を解き明かすように、読者も読んだ情報(しかもかなり簡潔に書かれている)から推理ができる。ただ個人的には、さあ考えるぞという気持ちで読み始めたい種類の作品ではなかった。
読了日:10月1日 著者:東川篤哉
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
読了日:10月4日 著者:山田真哉
置かれた場所で咲きなさい置かれた場所で咲きなさい感想
再々読。この手の本はあまり読まないが、本書はなぜか手元に置いておきたい一冊で、珍しく著者の講演会に参加したこともある。書いてある内容だけでなく、文体や文字組み、厚みなど本自体の読み易さにも、疲れた時に寄り添われるような安心感があると思う。ただ、これは「備え」のための本であって、今まさに過大な困難に打ちのめされている人には、重荷になるような気がする。これまでは読み飛ばしていたようで記憶にないが、今回は「十億の人に十億の母あらむも わが母にまさる母ありなむや」という暁烏敏の言葉が心に残った。
読了日:10月4日 著者:渡辺和子
ユダのいる風景 (双書 時代のカルテ)ユダのいる風景 (双書 時代のカルテ)感想
タイトルからしてユダに優しい。ひいては罪人に優しく、読んでほっとさせられる本である。個人的にはユダにも救いがあり得て欲しい。ユダというキャラが好きだから、というのではない。裏切りや自殺など、その理由をどう考えるかに関わらず「ユダに救いがないのは当然」と断定するのでは、徴税人や病人を「罪人」として区別、排除したイエス当時のユダヤ社会の構造が、二千年以上を経た教会内部へ忠実に受け継がれている証となってしまう。本書の終章は私の代弁だと思った。ユダは救われなかったかもしれない、が、それは我々には分からないことだ。
読了日:10月6日 著者:荒井献
はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))
読了日:10月7日 著者:ミヒャエル・エンデ
はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))
読了日:10月8日 著者:ミヒャエル・エンデ
新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか
読了日:10月14日 著者:北野武
サルヴィフィチ・ドローリスサルヴィフィチ・ドローリス
読了日:10月23日 著者:ヨハネ・パウロ二世
The Forests of Silence (Deltora Quest)The Forests of Silence (Deltora Quest)
読了日:10月26日 著者:EmilyRodda
言語科学への招待 (フロンティア・テクノロジー・シリーズ)言語科学への招待 (フロンティア・テクノロジー・シリーズ)
読了日:10月30日 著者:郡司隆男
獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)
読了日:11月1日 著者:上橋菜穂子
ユートピア (岩波文庫 赤202-1)ユートピア (岩波文庫 赤202-1)
読了日:11月2日 著者:トマス・モア
平和の訴え (岩波文庫 青 612-2)平和の訴え (岩波文庫 青 612-2)
読了日:11月4日 著者:エラスムス
ドン・キホーテ〈前篇1〉 (岩波文庫)ドン・キホーテ〈前篇1〉 (岩波文庫)
読了日:11月5日 著者:セルバンテス
罪と罰〈上〉 (岩波文庫)罪と罰〈上〉 (岩波文庫)
読了日:11月6日 著者:ドストエフスキー
罪と罰〈中〉 (岩波文庫)罪と罰〈中〉 (岩波文庫)
読了日:11月7日 著者:ドストエフスキー
罪と罰〈下〉 (岩波文庫)罪と罰〈下〉 (岩波文庫)
読了日:11月8日 著者:ドストエフスキー
ドン・キホーテ〈前篇2〉 (岩波文庫)ドン・キホーテ〈前篇2〉 (岩波文庫)
読了日:11月8日 著者:セルバンテス
ドン・キホーテ〈前篇3〉 (岩波文庫)ドン・キホーテ〈前篇3〉 (岩波文庫)
読了日:11月10日 著者:セルバンテス
壁抜け男 (角川文庫)壁抜け男 (角川文庫)
読了日:11月12日 著者:マルセルエイメ
『罪と罰』を読まない『罪と罰』を読まない感想
これを読みたいばかりに『罪と罰』を読んだ。当たってはいないけれど、そう遠くもない絶妙なラインを飛んでいく推理、特に三浦しをん氏の発言がどれもこれも面白い。名作だからといって肩肘張って畏まらず、親しげに歩み寄る彼らの姿勢を見習いたい。ドスト、ラスコ、馬、修造等々、くだけた愛称も素敵。
読了日:11月13日 著者:岸本佐知子,三浦しをん,吉田篤弘,吉田浩美
「うつ」かなと思ったら読む本―「ゆううつ」を「うつ」にしないために (日文新書)「うつ」かなと思ったら読む本―「ゆううつ」を「うつ」にしないために (日文新書)
読了日:11月14日 著者:関谷透
若きウェルテルの悩み (岩波文庫)若きウェルテルの悩み (岩波文庫)
読了日:11月15日 著者:ゲーテ
接客サービスのマネジメント (日経文庫)接客サービスのマネジメント (日経文庫)
読了日:11月15日 著者:石原直
バカ丁寧化する日本語 (光文社新書)バカ丁寧化する日本語 (光文社新書)感想
「させていただく」は日頃から気をつけているので以前よりは使わなくなったと思うが、依頼の「〜てもよろしいでしょうか」は盲点だった。「お名前を伺っても〜」など、かなり頻繁に使っている。完全に誤った用法とまでは思わないが、教科書の例などは確かに不自然だ。個人的には、「〜いただきたいのですが。」という言い回しも改めたい。語は丁寧だが、文末の「が」「けど」はみっともなく、「あれが欲しい」とねだる子供に与える「くださいは?」「お願いしますは?」などという言葉を返されてもおかしくない内容だ。
読了日:11月18日 著者:野口恵子
車輪の下 (岩波文庫)車輪の下 (岩波文庫)感想
確かに少年は勉学が好きで、喜びも感じていたが、それは大人たちから刷り込みのように押し付けられた借り物の価値観に過ぎなかった。改めて「自分」を生きてみようとしても足取りは不確かで、他者に振り回された挙句滅んでしまう。ハンスは消耗されてしまったというのが最も適していると思う。モノではないのに、モノのようにすり減らされてしまったのである。
読了日:11月18日 著者:ヘルマンヘッセ
銀河英雄伝説〈1〉黎明篇 (徳間文庫)銀河英雄伝説〈1〉黎明篇 (徳間文庫)感想
数年前に名前を知って以来、その長大さに怯えてなかなか思いきれずにいたが、ようやく手に取った。英雄的で平等なはずの民主政が抱える自己矛盾と堕落への傾きと、それに対する専制君主政のありように着目する。
読了日:11月21日 著者:田中芳樹
銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)感想
帝国と同盟でそれぞれ深刻な内部対立が起き、主要なところだけでも四大勢力が次々と描写される忙しい第二巻。終盤の死は勿論だが、味方による砲撃と核爆弾の投下の二場面も衝撃的だった。「人間の歴史に、『絶対善と絶対悪の戦い』などなかった。あるのは、主観的な善と主観的な善の争いであり、正義の信念と正義の信念との相克である」(258)人間は絶対善とはかけ離れた存在である。主観的善を絶対善と信じ込むところが人間の(客観的)悪の始まりではないか。自分を度外視してそう考える私も主観的善に酔っているのかもしれない。
読了日:11月25日 著者:田中芳樹
はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))
読了日:11月28日 著者:ミヒャエル・エンデ
はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))
読了日:11月29日 著者:ミヒャエル・エンデ
それでも社長になりました!―大企業トップ40人「私の課長時代」 (日経ビジネス人文庫)それでも社長になりました!―大企業トップ40人「私の課長時代」 (日経ビジネス人文庫)
読了日:12月13日 著者:
銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)
読了日:12月15日 著者:田中芳樹
ことわざ生活あっち篇ことわざ生活あっち篇感想
今月はなかなか読書の気分になれないようなので、ごく軽いものを手に取った。大好きなヨシタケ氏の絵のために。「余計なお世話」など、諺なのか?というものもあるが、知らない言い回しも多い。挿絵は果てしなくかわいい。
読了日:12月17日 著者:あかいわしゅうご
何者何者感想
映画の予告に「人として、誰が一番価値があるのかーー」という言葉が出てくるのを見て、本作を食わず嫌いしていた。しかし人の「価値」を考え判断するのは就活そのものや企業ではなく、就活に際した自分自身なのだと気がついた。一言で表現すれば、自己嫌悪を募らせる本である。この作品の最終的な執筆目的はそこではないのだろう。しかし認めたくないことだが主人公が自分によく似ているので、そういう感想を抱かずにはいられなかった。
読了日:12月19日 著者:朝井リョウ
読んでいない本について堂々と語る方法読んでいない本について堂々と語る方法感想
本と読書に対する我々の凝り固まった認識を解いて「語っていいのだよ」と諭す本である。「方法」は本書全体を実例として示される。本はそれ単体ではいられず、極めて個人的な経験や感情などによって読み手(最初の読み手は著者である)に受け止められて初めて、有意味なものとして成立する。そのため作者の思い通りに読者が受け取ることはあり得ないし、もしあるとすれば本の良さが失われている。思い切って自分に引き寄せてよいものなのだ。先日読んだ『罪と罰を読まない』と重なるところが多く面白かったので、この順番で読んだのは幸運だった。
読了日:12月21日 著者:ピエール・バイヤール
トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)感想
再再読。日付を見ると見事に四ヶ月おきだった。全編にわたって祖母の膝のような温もりを感じるが、ひときわ好きなのは『洗礼の子』の後半部分である。また頭の二作品の悪魔がなんだか可愛らしく憎めないヤツなのも気に入っている。百姓を罪に落とせず「小悪魔はびっくりして…どうして自分の罪をつぐなったらいいか、その方法を考え始めた」(67)また貪欲が人を殺す三作目は、劇的なラストの衝撃に背筋が伸びる。唯一『作男エメリヤンとから太鼓』だけが、一体なにを伝えたい作品なのかが今ひとつ分からなかったので、後日調べてみようと思う。
読了日:12月23日 著者:トルストイ
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
恥ずかしながらクリスティー初読。もしかすると幼少期に子供向けのものを読んだ可能性はあるが、本作はあまりにビックリしたので絶対に初めて。解説にあるような、名作故知っていて当然と言いたげなネタバレを食らった経験も幸いなく、「被害者が睡眠薬と思って飲んだものが違ったに違いない!」という明々後日の確信を最後まで持ち続けていた。そうだと仮定したところで何の解決にもならないのに。私は間違いなく探偵には向かない。面白かった。
読了日:12月23日 著者:アガサクリスティー,AgathaChristie
サロメ (岩波文庫)サロメ (岩波文庫)感想
再読。何層にも塗り重ねるような同じ台詞の繰り返しが美しく音楽的で、強く印象に残る。
読了日:12月23日 著者:ワイルド
服従服従感想
聖夜に読むにはおよそ向かない(笑)楽しむのに教養を要する作品で、主軸となるフランス文学への無知は大きなハンデだった。散見される露骨な性描写には辟易させられたが、本作においては読者を引き止めるための装飾的なスパイスに過ぎぬものではないのだろうと思う。なぜならイスラームへの「服従」は女性の男性への「服従」をも意味し、その点は主人公にとって重大な要因となるからである。男女平等や個人の自由が当然の正義と思えるのは、それが真理だからではなく、西欧の個人主義の影響を受けた時代に生きているからに過ぎないのだろうか?
読了日:12月25日 著者:ミシェルウエルベック
キリストにならうキリストにならう感想
以前読んだものより新しい訳で再読。主として修道者に読まれたというが、それにしても地上の世界に属するあらゆるものに対して否定的すぎると思う。教皇フランシスコの姿勢に顕著なように、現代の教会は、神と神の国への信仰に根ざした人間の地上でのあり方をも重視する。信仰において、霊的なものの地上的なものに対する優越を譲ることができないのは確かだ。しかしここまでの現世軽視が相応しいとも思えない。修道会にも活動会と観想会があるように、本書の受け止め方が一様である必要はないだろう。4巻9章6節が好き。
読了日:12月25日 著者:
ことわざ生活 こっち篇ことわざ生活 こっち篇感想
最終章がとてもよい。「親には一日三度笑って見せよ」、あたたかい言葉だ。
読了日:12月26日 著者:あかいわしゅうご
イワン・イリッチの死 (岩波文庫)イワン・イリッチの死 (岩波文庫)感想
カイウスは人間、人間は死ぬ、従ってカイウスも死ぬ、という三段論法に対する「それはカイウスのみに関することで、彼自身には全然関係のないことであった。……彼はカイウスでもなければ、一般に人間でもなく、どんなときでもまったく他のものと異なる特異の存在なのだ」(61)という態度。冒頭でも人の死に対する人々の態度として提示されるが、これが本当によくわかる。人間が死ぬのは当然だと確かに知っているのに、同時に自分が明日生きていないことはあり得ないと信じている。だから自分と死との接点を見つけると酷く恐ろしくなるのだ。
読了日:12月26日 著者:トルストイ
炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)感想
子供の頃からの長いブランクがあった守り人シリーズを、再び新刊台から買うことができるとは。初めの数ページは先に『蒼路』を読み返すべきかと考えながら捲っていたのだが、そうする間もなく引き込まれ、結局ひと息に読んでしまった。すべてを失い、新たな居場所を得たようでいて、やはり落ち着くべきところのなかった少年が、大局を俯瞰する「鷹」の立場に転じるまでの話。居場所を見つけたというより、持たないことを選んだのかもしれない。本編のヒュウゴに関する記憶があやふやなので、やはりもう一度『蒼路』を読みたい。
読了日:12月26日 著者:上橋菜穂子
幼年時代 (岩波文庫)幼年時代 (岩波文庫)
読了日:12月27日 著者:トルストイ
図説 西洋建築の歴史: 美と空間の系譜 (ふくろうの本)図説 西洋建築の歴史: 美と空間の系譜 (ふくろうの本)
読了日:12月28日 著者:佐藤達生

読書メーター